故人が母・物静かな性格・ペットが好きだった場合の喪主挨拶の例文です。

喪主が葬儀のスピーチをしている画像
喪主挨拶の例文
故人:母 | 性格:物静か | 趣味:ペット

本日は皆様ご多用中の所、母の葬儀にご参列いただきましてありがとうございました。
私は長男の〇〇と申します。出棺に先立ちまして〇〇家を代表して一言ご挨拶を申し上げます。
生前中は皆様にご厚誼を頂戴しまして、まことにありがとうございます。

普段物静かで、あまり声を荒げることがない母でありました。
私もあまり怒られたという記憶はありません。
皆様ご存知の通りに母は動物が大好きで、私の生まれた時からのアルバムに貼ってある写真には、なにかしらの動物が必ず写っています。
父に聞きましたら、母は子供の時に野良犬に噛まれて高熱が出たことがあったそうで、動物を怖がって大嫌いだったそうです。
その母がなぜこんなに動物が好きになったのかというと、テレビで殺処分される犬たちを観たのがキッカケだったといいます。
職員達のやるせない気持ちや、自分の運命を知り泣き叫んでいる犬を見て、矢も楯もたまらず、父にせがんで収容所に行ったそうです。

父は何が何だかわからないままに運転して、なにをするのかと思ったら、到着するなり処分されようとする犬に向って「この子をもらいますから、殺さないでください!」と叫んだといいます。
父は「この人はこんな大きな声が出るんだ」と、言い出した言葉より、そっちのほうがビックリしたそうです。職員はビックリしたそうですが嬉しそうだったそうです。
その時にいた犬は3匹。どれにしますか?と聞く職員に「全部連れて帰ります!」と言った母に、ようやく事の次第の大変さに父は驚きました。
「ちょっと来い」と母の腕を掴んで「おまえ動物が嫌いじゃないか、それも3匹なんて大丈夫なのか?」と問いただしました。
母は「あなたの実家には犬と猫とがいるから大丈夫じゃない?」と言い放ち、思わず天を仰いだ父は「おまえは実家に行っても怖がって逃げ回っていたじゃないか。自分は仕事で昼間いないから、おまえはずっと一緒にいなきゃならないんだぞ」と諭しました。
テレビで感化されて一時の思いつきだとわかっていたので、現実をよく見ろと言いたかったのだと思います。
流石に母もちょっと考えたようですが、すがるように見つめてくる犬たちの目を見て「私、がんばります!」と宣言したので、頑張り屋な母のことですのでできるところまでやらせて、ダメだったら実家に連れて行けばいいやと仕方なく承諾したそうです。

内訳は年老いて飼い主から持ち込まれた犬、迷子のまま保護されたものの引取り手がいなかった犬、野良犬なのかよくわからないまま捕獲された犬だったそうです。
後に迷子の犬はたまたま飼い主が動物病院の貼紙で運良く見つかり、命の恩人だと泣いて喜ばれたそうです。
年老いた犬は寝てばかりでしたので手はかからなかったそうですが、困ったのが捕獲された犬でした。
雑種で中型犬なので外で飼うことにしたそうですが、エサを持って行っても吠えられて飛びかかった来るので母はいつも傷だらけだったといいます。
おまけにしょっちゅう逃げ出すので、また捕まらないようにとチップを埋め込んだそうです。

一年後に老犬は亡くなりました。
獣医さんは「最期に穏やかな気持ちだったから、きっと元の飼い主じゃなくて、あなたを虹の橋で待っていますよ」と言ってくれたそうです。
虹の橋というのは、天国の手前にある動物たちが元気で暮らして飼い主を待っていて、飼い主が来たら一緒に天国に行くという、原作者は不明だそうですが、世界中のペットを亡くした人が慰められている童話です。
老犬が亡くなってからヤンチャ犬は静かになりました。
母は老犬は家の中なのに自分はなぜ外なのかと怒っていたんじゃないかと思ったそうです。
そこで家の中に入れることに決めたそうです。
父は家の中をひっくりかえされるんじゃないと心配したそうですが、今までのヤンチャは影をひそめて、とても良い子になったそうです。

私が生まれた時に一緒に写っているタロがその犬です。
タロは私が泣くとなめたりゆすったりと子守りをしてくれたり、母のところにオムツを持ってきて取り替えを教えてくれたりしてくれるようになったといいます。
母が「オスなのに母性が強いねえ」と笑っていたといいます。
私が小学生になったときにタロが亡くなりました。
母は元気がなくなり鬱病みたいになってしまいました。
父はこれは大変だと心療内科に連れて行きました。
医師は一言「また犬を飼えば治りますよ」と言ったきり薬もくれませんでした。
父と私たち兄弟は「本当かなあ?」と思いながら、また収容所に母を連れて行きました。
ペットショップは嫌だと母が言ったからです。
そこで今もいるツンデレな花と、脳天気なジロと出会い一緒に暮らすようになりました。
医師の言うとおりに母の病気はすぐ治りました。
父が「結婚した頃の動物怖いとは別人だな」と笑ってしました。

母の旅立ちはとても悲しく寂しいですが、方向音痴の母をきっと虹の橋で老犬とタロが待っていてくれて、迷わないで天国に行けると思って安心しています。
簡単ではありましたが、ご挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。

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