故人:娘 | 性格:頑固 | 趣味:芸術
本日はお忙しい中、故○○○○の葬儀告別式にご参列頂き誠にありがとうございました。
私は故人の母の○○○○と申します。
娘がまだお腹の中に居るときに実は主人を事故で無くし、娘はお父さんを知らないまま大きくなりました。
私が少し抜けているところがあるので、そのため娘は自分がしっかりしなければ。
そう思ったのでしょうね。昔から年齢にそぐわない位しっかりしていて、私を引っ張っていってくれる、そんな子でした。
しかし、そのしっかり者という性格も成長するに連れて頑固さが強く出てしまい、周りと上手くやれているのか。
それがとても心配でした。
しかし、皆様のお姿を見ると私の心配は必要なかったようですね。
娘には小さいときから我慢ばかりさせていたと思っています。
お父さんが居ないということで寂しい思いもたくさんしてきたことでしょう。
本当に何か欲しい。何かをして。そういった我が儘もお願いも殆ど無かったと思います。
いつか謝りたい。
きっと娘にちゃんと謝罪をするときは娘がお嫁に行くときかな。
そう思っていたのに、結局言うことが出来ませんでした。
○○ちゃん本当にごめんね。
そんな娘が初めて私に大きなお願いをしてきたのは○年前です。
進学の話をしていたとき、芸大に行きたい。陶芸を学びたい。そう言ってきました。
確かに我が家には少し難しい選択肢でした。
しかし、奨学金のこともしっかり調べてきて真剣に私に向かってくれた姿に私は反対の言葉なんてありませんでした。
それに何より、陶芸は主人の趣味だったので嬉しく思いました。
学校で誉められた。展示会に参加する。等毎日楽しそうにしていたのに、まさか娘まで失うことになるとは。
神様がいるなら残酷ですよね。
娘の命を奪う原因となったのは、主人と同じ自動車事故でした。
自転車に乗っていた娘と曲がってきた車が衝突した。そう伺いました。
学校を卒業したら親孝行をする。そう言っていたのに…。
私を一人残して主人のところへ行ってしまいました。
主人も娘も亡き今一人残され、これからどうすれば良いのか分かりませんが娘と主人のぶんも必死で生きる。
それが私のこれからの人生の目標です。
しかし、時には辛くて寂しくなる日も来ると思います。
そんなときはどうかご叱責をお願い致します。
本日は誠にありがとうございました。
今後とも娘の生前と変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い致します。
これにて私のご挨拶は以上とさせて頂きます。
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