家族が一人亡くなると、死亡届以外にも様々な届出や手続きが必要となってきます。
その数は多く葬儀とも重なり非常に辛い時期ではありますが、一つ一つ落ち着いて適切に対処することが大切です。
こちらのページでは死亡届のほかに必要となるであろう届出や手続きについて解説していきます。
火葬許可申請の手続き
*提出先:死亡届出を受理した市区町村長
*提出するもの:火葬許可申請書
ご遺体を勝手に火葬したり埋葬したりすることは法律で禁じられていて行政の許可を貰う必要があります。
火葬・埋葬の許可を得るには市区町村役場にて、火葬許可申請書を提出し手続きを行いましょう。
通常、火葬許可申請書は死亡届と併せて提出します。
また、一部の自治体では火葬許可申請書が不要で、死亡届を提出することで火葬許可証が交付される場合があります。
最近では、この火葬許可申請は葬儀社が代行して手続きを行ってくれるのが一般的となっています。
葬儀社に依頼しない場合は、各自手続きを行う必要があるので確認しておきましょう。
死亡届、火葬許可申請書、これらの書類が受理されて初めて、火葬許可証が交付されます。
つまり、葬儀を行うには、死亡届と火葬(埋葬)許可申請書を提出し、手続きが完了していることが不可欠となります。
また、火葬許可申請書は各自治体によって下記のように名称や様式が異なります。
*死体火葬許可申請書
*死体埋火葬許可申請書
*死体火(埋)葬許可申請書
*死体火葬埋葬許可申請書
火葬と埋葬の許可申請書と一体になっているものや、火葬場の使用許可申請書を兼ねているものがあります。
このように火葬許可申請書は、自治体によって様式が異なるので、プロである葬儀社に手続きの代行を依頼する方がスムーズかもしれません。
世帯主変更届の手続き
*提出先:市区町村役場の戸籍・住民登録窓口
*提出するもの:住民異動届
世帯主の変更が必要な場合は、世帯主がお亡くなりになってから14日以内に居住地のある市区町村役場に届け出ます。
死亡から14日以内に届け出ることになっていますが、死亡届と同時にに手続きするのが一般的でしょう。
世帯主変更の手続きができるのは新しい世帯主本人、または同じ世帯の人です。
委任状を提出すれば代理人を立てることもできます。
また、親族であっても同じ世帯でない場合は代理人と同じ扱いになるので委任状が必要となります。
次の図のように世帯に誰も残っていない場合や、誰が世帯主になるか明らかな場合においては世帯主の変更手続きをする必要はありません。
また、世帯主以外の方が死亡された場合も同様です。
住民票の除票の取得
*提出先:市区町村役場の戸籍・住民登録窓口
*提出するもの:各自治体指定の申請書
市町村長は、その市町村の住民基本台帳に記録されている者が転出をし、又は死亡したときその他その者についてその市町村の住民基本台帳の記録から除くべき事由が生じたときは、その者の住民票(その者が属していた世帯について世帯を単位とする住民票が作成されていた場合にあつては、その住民票の全部又は一部)を消除しなければならない。
引用元:住民基本台帳法施行令第八条
死亡届出が受理されると、各市区町村長は住民票の削除を行います。
削除された住民票を住民票の除票といいます。
削除といっても廃棄するのではなく、住民票の除票という資料へ保管します。
つまり、住民票の除票は死亡の事実を公的に証明するものであり、死亡を証明する資料として金融機関、保険会社、法務局などから提出を要求されることがあります。
死亡の事実だけであれば戸籍謄本にも死亡の年月日が記載されるので事足りるのですが、住民票の除票を併せて提出しなければならないことが多いです。
住民基本台帳施行令の一部改正(令和元年6月20日施行)より、住民票の除票の保存期間は150年間に延長されています。
改正前の保存期間は、住民票を消除又は改製した日から5年間でした。
公的年金(国民年金・厚生年金保険)の受給停止手続き
亡くなった方が年金を受給していた場合、死亡の翌日から国民年金や厚生年金保険の被保険者の資格を喪失します。
よって故人の住所を所轄している年金事務所に年金支給停止の手続きをする必要があります。
厚生年金保険の場合、手続きの期限が亡くなった日から10日間と短く、まだ慌しい時期での手続きとなるので忘れないように注意しましょう。
国民年金の受給停止手続き
*提出先:市区町村役場の年金課などの窓口、年金事務所
*提出するもの:年金受給権者死亡届(報告書)、年金証書、死亡の事実を明らかにする資料(戸籍抄本、死亡診断書のコピー、住民票の除票など)
厚生年金保険の受給停止手続き
*提出先:市区町村役場の年金課などの窓口、年金事務所
*提出するもの:年金受給権者死亡届(報告書)、年金証書、死亡の事実を明らかにする資料(戸籍抄本、死亡診断書のコピー、住民票の除票など)
国民年金は亡くなった日から14日以内に、厚生年金保険は10日以内に管轄の年金事務所に年金受給権者死亡届(報告書)を提出する必要があります。
年金受給権者死亡届(報告書)の様式は、日本年金機構の公式サイトにてダウンロードできます。
他にも故人の年金証書や死亡の事実を証明できる書類も併せて必要となります。
もし、受給停止の手続きを忘れてしまうと、まだ生きていると見なされ年金の振込が継続されてしまいます。
そうなると年金の返還を求められるだけでなく、不正受給の疑いで逮捕されるということも考えられるので気をつけましょう。
ただし、日本年金機構にマイナンバー(個人番号)を登録されていた方は、原則として年金受給権者死亡届の必要はありません。
未支給年金とは
公的年金の給付は2ヶ月に1度で偶数月の15日に前月分と前々月分が振り込まれ、死亡された月の分まで支給されることになっています。
年金を受給していた方が受け取るべき年金を受け取らずにお亡くなりになった場合、故人と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。
これを未支給年金といい、遺族は年金事務所や年金相談センターに請求することができます。
【未支給年金請求のリンク】
健康保険の資格喪失手続き
国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合
*提出先:市区町村役場の医療保険課などの窓口
*提出するもの:資格喪失届出、被保険者証(保険証)、死亡の事実を明らかにする資料(戸籍抄本、死亡診断書のコピー、住民票の除票など)
都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有しなくなつた日の翌日又は第六条各号(第九号及び第十号を除く。)のいずれかに該当するに至つた日の翌日から、その資格を喪失する。ただし、都道府県の区域内に住所を有しなくなつた日に他の都道府県の区域内に住所を有するに至つたときは、その日から、その資格を喪失する。
引用元:国民健康保険法第八条
国民健康保険に加入している方がお亡くなりになった場合、死亡の翌日から資格を喪失することになります。
そちらに併せて資格の喪失から14日以内に役場へ届出し、被保険者証を返却する必要があります。
亡くなられた方が70歳以上75歳未満であった場合は、高齢受給者証が交付されているので被保険者証と併せて返却するようにしましょう。
また、亡くなられた方が75歳以上で後期高齢者医療制度に加入されている場合も、死亡の翌日から資格を喪失することになります。
こちらの場合も死亡から14日以内に役場へ届出し、被保険者証の返却をしなければなりません。
さらに、亡くなられた方が世帯主で、且つ家族も国民健康保険に加入していた場合、家族全員の被保険者証も返却し、新たに国民健康保険に加入する必要があります。
*後期高齢者医療制度…75歳(寝たきり等の場合は65歳)以上の方が加入する独立した医療制度。
社会保険(全国健康保険協会や健康保険組合など)に加入していた場合
*返却先:故人の勤め先
*返却するもの:故人と扶養されていた家族の被保険者証(保険証)
亡くなられた方が会社勤めをされていて、社会保険(全国健康保険協会や健康保険組合など)に加入していた場合も国民健康保険と同様、死亡の翌日から資格を喪失することになります。
ですが、社会保険の場合の資格喪失届の手続きは勤め先の事業主が行うことが一般的です。
期限の5日以内に事業所の所在地を管轄する年金事務所へ、健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届、厚生年金保険 70歳以上被用者不該当届を提出する必要があるので、速やかに故人の勤め先へ連絡するようにしましょう。
この時、故人と扶養されていた家族の被保険者証も故人の勤め先を通して年金事務所へ返却されます。
被保険者証は、死亡の翌日から使えなくなるので、扶養されていた家族は国民健康保険への切り替え手続きが必要になります。
介護保険被保険者証の返納
*提出先:市区町村役場の介護保険課などの窓口
*提出するもの:介護保険資格喪失届、介護保険被保険者証、介護保険負担限度額認定証(交付を受けている方のみ)、保険料過誤状況届出書(還付金が発生する場合)
次の各号のいずれかに該当する者は、市町村又は特別区(以下単に「市町村」という。)が行う介護保険の被保険者とする。
一 市町村の区域内に住所を有する六十五歳以上の者(以下「第一号被保険者」という。)
二 市町村の区域内に住所を有する四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者(以下「第二号被保険者」という。)
引用元:介護保険法第九条
故人が65歳以上の方(第1号被保険者)、または要介護・要支援認定を受けている40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)の場合、亡くなった日から14日以内に同じ世帯の家族か、その代理人が介護保険資格喪失届の提出と介護保険被保険者証の返却をする必要があります。
65歳以上の方(第1号被保険者)は要介護・要支援認定の有無に係わらず、全ての方に介護保険被保険者証が交付されています。
また、40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)は、要介護・要支援認定を受けない限り、原則として介護保険被保険者証の交付はありません。
そのため、故人が40歳以上65歳未満の方で特に介護を必要としていない状態であれば資格喪失の手続きは必要ありません。
【葬儀後、落ち着いたらする手続きリンク】
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