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故人が息子・温厚な性格・ペットが好きだった場合の喪主挨拶の例文です。

喪主が葬儀のスピーチをしている画像
喪主挨拶の例文
故人:息子 | 性格:温厚 | 趣味:ペット

本日はお忙しい中、息子○○の葬儀にご参列いただき、誠にありがとうございます。
遺族、親戚を代表しまして一言ごあいさつ申し上げます。

息子は突然に職場で倒れ病院に運ばれて、一時意識は戻ったのですが、そのまま帰らぬ人となってしまいました。

息子は温厚な性格で、人と喧嘩したり声を荒げることなど、親の私が知る限り見たことも聞いたこともありませんでした。
面倒見も良く友人も多く、今日もたくさんの方々が来られて見送ってくださったことは、本人もさぞかし喜んでいることと思います。
息子は本当に優しい子で、動物が好きでした。
それが高じてトリマーという職業をしておりましたが、私は元々それほど動物が好きなほうではなかったので、そのような仕事を選ぶというのは不思議でしょうがありませんでした。

ご友人の方にはご存知かもしれませんが、家族の一員に〇〇という犬がいます。
今日も皆様には目障りだったかもしれませんが参列させていただきました。
もう10年ほど家におります。
これは息子が連れて来たものです。

その頃、息子はペットショップにアルバイトに行っておりました。
毎日犬や猫にひっかかれたりして傷だらけになって帰ってきましたが、本人は本当に楽しそうでした。
私は物好きな奴だと思ってました。

ある日、息子が一匹の子犬を連れて帰ってきました。
いったいどうしたのかと言いますと、ペットショップでは売れ残ると処分されるということを教えてくれました。
どう処分されるのかは教えてくれませんでしたが。

その犬は、息子がバイトを始めた時に店にやってきたそうで親近感があったそうです。
とてもなついてくれたようで、店の人に「おまえが飼えよ」と笑われたそうですが「父が動物が苦手なので無理なんですよ」と言っていたそうです。
息子以外になれなくてお客に愛想がなかった犬は売れなくて、最初は目線のところにいたのに、どんどん下の部屋に移されていき、最後にはケージの中に移されていったそうです。

その日、店長が申し訳ないという顔で息子に「おまえが可愛がっていたのに可哀想だが、この子は処分に回る」と告げたそうです。
真っ青になった息子は店長に頼み込み連れてきました。
お試し外泊というシステムがあったので、それは許可されたのですが、私が反対するだろうと思ったそうです。
そして泣きながら「飼わせてください」と私達に頼みました。

それまでワガママを言うわけでもなく、なにか欲しいとか言う子供でなかったので私達は驚きました。
しかしそこまで必死に頼み込み、ひとつの命がかかっていることに私は折れて飼うことを許可したのでした。
犬は「どうせ処分対象だったんだから」とタダでうちにやってきました。
店長が良い人で「動物を飼ったことがなかった家ならばなにもないだろう」と、エサやシーツなど色々とくださりました。
あとでそういう店に行った時にいただいた物を合算したらけっこうな額になりましたので、息子はずいぶん気に入られていたのだなと思うと共に、やはり仕事とはいえ処分するというのは嫌だったのだろうと思います。

やって来た犬は〇〇と名付けられましたが、なかなか私達になつきませんでした。
息子の部屋に一日中引きこもり、息子が帰ってきたらとてつもない叫びをあげ、夜は一緒にベットで寝ていたそうです。
リビングなどに出てこないのは動物が苦手な私にとってはありがたい話でしたが、さすがに半年もたってくると気になってきました。
息子が「友人達と旅行に行くんだけど、ペットホテルに預けるから大丈夫だからね」と言い出しました。
私に気をつかって言ってくれたのでしょうが、正直カチンときました。
「家に誰もいないならしょうがないが、私達がいるんだから、よけいな出費をしなくていい」と言いましたら、息子はキョトンとして私を見ました。
私からまさかそんな言葉が出るとは思わなかったそうです。

聞くと〇〇は、ずっとリビングに行きたそうにしていたそうですが、私に気をつかって禁止にしていたそうです。
はじめてリビングにやってきた〇〇は、心配そうにおずおずと私のそばにやってきて、チョコンと前足を膝に置きました。
不思議なもので、あれだけ道を歩いていても動物がいたら横道に入っていたような私に急に愛しいという気持ちがわきあがってきたのです。
それからというものの〇〇は私のそばにやってくるようになり、息子は私にとられたと笑っていました。
しっかりとしつけをしていたようで悪さをすることもなく、妻も娘も〇〇に夢中になりました。
息子は安心したのか、それからは時々外泊するようになりました。

それから10年、家族旅行をする時もペットがOKのところを選んで一緒に行ったものです。
しかし、私はなぜか〇〇以外の動物は相変わらず苦手でしたので、家族から笑われました。
息子がトリマーとなり〇〇は練習台になりました。
途中で必死に私のところに逃げてきたこともあります。
そのうちに腕もあがっていき逃げてこなくなりましたが。

〇〇も息子が亡くなったことがわかるのか、ずっと棺のそばから離れずないでいます。
これからは息子の代わりに、よりいっそうに可愛がっていきたいと思います。
簡単ではありましたが、ご挨拶とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。

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